東大卒クイズ王をボコボコにする英語クイズ作ってみた!【QuizKnockコラボ】を解説してみた
いつも見ているKER(Kevin’s English Room)のYouTube動画に、QuizKnock(東大卒の皆さんを中心とする知的メディア集団)さんとのコラボ動画が上がっていました。
タイトルの通り、東大生が解けない英語クイズを作って対戦しよう!という動画です。
今日は、この動画に出てきたクイズについて解説しようと思うので、まずはこの動画を見てください。
はい、ご覧になりましたか?
以下の記事は、動画のネタバレになりますので、ネタバレ嫌いな方はかならず先に動画をご覧ください。
結局、クイズ対決は、最終問題を東大卒QuizKnockさんが攻略し、QuizKnockさんの勝ち、となりましたね。
この記事では
この最終問題をなぜQuizKnockさんたちが解けたのか?
それは、東大卒のエリートだからなしえたことなのか?
実は、超難問に見えても基本的文法知識で解けるんだよ
という解説をします。
よろしくお付き合いくださいね
QuizKnockを勝利に導いた、ネイティブが作った渾身の問題とは
和訳してください “The old dog the footsteps of the young.”
勝敗を分けた最終問題は、ふつうに和訳問題でしたね。
ただ、その文が普通じゃなかった!それは・・
“The old dog the footsteps of the young.”
いかがですか?
解けましたか?
東大卒のQuizKnockさん4方の回答は、ほぼ内容が同じでしたね。
なぜこのような難問に対する答えが、同じになったのでしょうか。
東大卒だからみんな頭がいいから?
ノンノン、違います。
だって、みんな頭いいから、だとしても
そのほかの問題の答えは、割とバラバラでしたよね。
でもこの問題の答えだけ、4人ともほぼ同じになりました。
その理由は・・・
この問題は超難問に見えて実は・・
日本の学生が学校で習う文法知識を使えば割と簡単に解ける問題だったから!です。
この問題
高校生で(留学とかしたこともないのに)英語の成績はいい、とか
留学したことない大人だけどTOEICでかなり高得点取れます、とか
そんな人たちにとっては、ほぼ同じ答えにたどりつける問題なのです。
ここから、東大生、そして英語得意な人たちが
“The old dog the footsteps of the young.”
この一見意味不明な英文をどのように解いていくのか
今回は、その思考の過程を解説することで、
今後みなさんが「なにこれ?意味取れないんだけど」という文に出会ったときに、どう戦えばいいのか、そのヒントを提供したい!と思っています。
では行ってみましょうー--!
解説 “The old dog the footsteps of the young.”の解き方
この問題を見たときのQuizKnockさんたちの、第一番目の反応が
「動詞がねぇだろw」
でした。注目ポイントはここです。
まず動詞を見つけようとしている
そうです。
最初に動詞を見つけよう!
パッと読んでわからない文章に出会ったとき、英語が読める人たちがやろうとする第一歩目
それは
動詞を見つける!
です。
これが、英語を何となく読んで「わからないなぁ」で終わってしまう人と
わからない文でもなんとなく読み解けてしまう人の 差
ただ、この動画内にも出てましたが
「だってこれ(動詞が)ないからw」
この文章がわけわからないのは、その肝心の動詞がみつからないから。
なのです。
しかし、最終的には皆さん「動詞」をみつけて答えに辿り着きました。
最終的には皆さん動詞を見つけ、そしてそのみつけた動詞はみな同じでした。
みんなが同じ単語を動詞だと認識できました。
それは偶然ではなく必然でした。
でも残念なことに
そこに至る思考のステップは残念ながら動画内には出てきません。
なのでここからは、動画に出てこない東大卒のクイズ王のみなさん、そして英語ができる系の皆さんの
思考をよみといていきましょう~~~~。
品詞を整理 前置詞とそのかたまりはただのお飾り
まず
The old dog(その年老いた犬)名詞だな
the footsteps(靴音もしくは足取り)これも名詞
of the young、これは前置詞から始まってる前置詞句、ただの飾りだから除外しよう
まずはここまで考えて
名詞二つしかないやん、これは文ではない、という思考が最初に辿り着くところ。
しかしヒントとして、「これはちゃんとした文です」と言われて、
ならば必ず「動詞があるはずだ」となり品詞分解のやり直しに入ります。
動画内でも
「品詞分解したら、第何文型なのかなみたいなのはわかるよね」と言ってますよね。
そう、勉強して英語ができるようになった人はみな、「品詞分解して文型を突き止める」という作業を脳内でしています。
混乱したら、冷静に品詞分解。文型を突き止める!
ここで注目すべき2点目は、品詞分解の際に
「of the young、前置詞句、これはただの飾りだから除外しよう」という思考です。
動画内でその部分は言語化されていませんが、この文が分かる人はほぼ全員これをやります。
前置詞句(前置詞から始まるひとかたまりの意味)は、飾りなので文の要素として見ないです。
高校文法の、かなり初期に習う基本ルールなのですが、多くの人がそんなことが重要だと思ってないので
ハイハイ、と適当にうなずくふりをして、先生の言葉を聞き流していた部分です。
はい、かくいう私も、現役学生の頃はそんなこと完全に聞き流していました(笑)
ともかく、of the young、の部分はお飾りと認識、最初は無視します。
すると、
The old dog the footsteps.
だけが残ります。
二つの名詞にしか見えませんが、文であるならこの中に必ず動詞があるはずなんです。
候補として冠詞(the)以外の(さすがにtheが動詞ってわけはないので)
・old
・dog
・footsteps
この三つがのこります。
最初に疑いたくなるのは、footsteps
だって、最後にsついてるじゃん、
キタコレ!(゚∀゚)
これ、三単現のsじゃん
です。
しかー--し!
footsteps
の前には theが付いています。
the ・・・冠詞・・・苦手ですよね💦
しかし、the と aの使い分けが得意だろうと苦手だろうとなんだろうと
冠詞は名詞にしかつかない!
という事実は揺るぎません。
どんなに冠詞が苦手だろうと、
冠詞がついていればそれは名詞(もしくは名詞のカタマリの名詞句)なのです。
ということで、the footstepsのほうは名詞で決定、
残念ながら、動詞じゃありませんでした。
残るは
The old dog. のみ!
なんと、
The old dog
この中に、主語と動詞両方ある、という驚愕の事実。
えー------?マジで――――?ですよね。
しかし、ここまで冷静にしっかり品詞分解できていればこんなことではひるみません。
だって、順番的に言ってよほど特殊な形でなければ主語が先、そのあとに動詞、なのですから
なので、ここで順番的に後ろにある dog が動詞なのかも、と仮定することになります。
そして、残された the old に目を付けます。
ちょっと待ってよ、さっきtheは名詞にしかつかないっていったじゃん!
そうだよ、oldは「古い」って形容詞でしょ
そう、そう言いたくなりますね。
でも、形容詞としての意味が有名だけど、名詞もある単語とか
動詞としてよく知られてるけど、名詞の意味もあるもの、とか
名詞としてしか有名じゃないけど、動詞の意味もある単語、なんかもあります。
たとえばwater
water といえば「水」という名詞だけが有名ですが
「水やりをする」という動詞の意味もあります。
こんな感じで
知っている意味だけで品詞を思い込まない
という姿勢も品詞分解には重要です。
知っている意味の品詞だけで判断しない!
とにかく
主語はthe old の部分でしかありえない
主語であるならばthe old は名詞なのである!
となります。
(言わずもがなですが、主語は名詞だ!もゆるがない決まり事です)
ここまで来て、高校文法をちゃんとやった人は思い出します。
冠詞は名詞にしかつかない
が!
the +形容詞で名詞を作る場合もある
ということです。
だれもが知ってる rich という単語は「豊かな」「金持ちの」という形容詞ですが
the rich のように、theを付けることによって「お金持ちの人」という名詞が生まれます。
darkも「暗い」という形容詞ですが
the dark とthe を付けることによって「暗闇」という名詞になります。
the rich やthe darkほどには用法として有名ではないけれど
the oldという使い方があるのだろう
だってここは主語なんだから、名詞なんだから、
という結論に達します。
そこで、意味は、きっと「お年寄り」ということだろうなぁ、と推測できのです。
あとは簡単♪
主語 the old (お年寄りが)
動詞 dog (dogする=意味は分からないけど、きっと犬っぽい動きのことだろうと推測)
まで決定
そして、the footsteps この部分は名詞ですし、しかもこれは動詞の後ろにある名詞です。
動詞の後ろにある名詞、そうそれは(~を)の働きをする目的語!とわかるのです。
これで、この文は
「the old が、the footsteps を dog する」
すなわち
「お年寄りが、足跡を、なにかわからんけど犬っぽい動作をする、という意味だろう」というところまわかりました。
残ったのは、最初に除外した of the young です。
もうお分かりですよね、the old がお年寄り、なんだから、the young は「若者」です。
of the young で「若者の」
ということで
’the footsteps of the young の部分は「若者の足跡を」という目的語のカタマリ、ということがわかりました。
動詞(S)の後ろに直接目的語(O)がある。
そうか、これはSVO、第3文型の文なんだ。
以上のような思考の流れで4人ともが
「お年寄りが、若者の足跡をdogする」
というところまで、QuizKnockさん4人全員が
(そして、英語の文法をやった人たちが)
必然的にたどりつき
あとは dogする、という動詞の意味を推理して、ほぼ正解できた、ということなのです。
動画内の正式な正解は「老人が若者の足音(足跡でも可)を追う」でした。
まとめ
いかがでしたか?
全員が同じ答えに辿り着いた思考の過程はお判りいただけたでしょうか?
この動画から学びべきポイントは
パッと読んで意味が分からない文に出会ったら・・攻略法
- まず動詞を探す
- 品詞分解して文型を突き止めようとする
- 前置詞句(前置詞のカタマリ)はただの飾りとして置いておく
- 冠詞が付けばそれは名詞
- 冠詞プラス形容詞で名詞を作ることもある
- 知っている意味だけで品詞を決めつけない姿勢も必要
でした。
いやぁ、文法の威力を感じられる動画でしたねぇ。
文法の威力
意味の分からない文も、冷静に分析して文型を取ること(精読)で読み解くことができる
これが文法の威力♪
このようなお話をすると必ず
「ネイティブはそんなことを考えながら話してなんかない!」という意見に出会います。
それは、きっとその通りだと思います。
それは、日本にいて学校の勉強をコツコツやって、それから話せるようになった、という人だって同じです。
話すときは
「そんな面倒なこと1ミリも考えてない」
「そんなこと考えてたら言葉は口から出てこない」
んです。
でも、それはこのような地道な訓練を何度も何度も、数えきれないくらい繰り返してきた後、のお話です。
「話すときにそんなことは考えていないから」という理由は
「そんなことは学ぶ意味がない」や
「だから学ばなくていい」という意味にはならない思います。
少なくとも、今回みたいに
dog みたいな簡単すぎる単語が動詞として使われることがあるということを知らなくて
さらに、その動詞の意味すら分からない時だって
順序良く丁寧に読んでいけばその意味をつかむことができる文法という武器を
わざわざ自分から捨てる、という行為は、もったいないと
そんなことを思い出させてくれる動画でした。
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ありがとうございました。
ではまた
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コメント
コメント一覧 (2件)
dogは規則動詞ですので、この問題は成立していないのではないでしょうか?
HANAさん
はじめまして
コメントありがとうございます。
なるほど!
dogは規則動詞だから、過去形ならedが付くはずだし、現在形なら三単現のsが必要なのでは?という疑問ですね!
the old を一人の老人、ととらえると確かに現在形なら三単現のsが必要になりますが、この場合「いわゆる老人というものは」みたいに、一人の老人ではなく老人をひとくくりにしたものになります。
the richが一人の金持ちではなくお金を持っている人全体をひとくくりにしちゃうのと同じですね。
このような、the+形容詞が「人」の場合は、複数形となります。
なので、三単現のsが付いていません。
動画内での訳をそのまま採用したので、記事内では「老人が若者の足音(足跡でも可)を追う」を正解としましたが
本当はもっと文法を深掘ることもできて
どんな時に動作動詞を現在形にするのか、ということにも思いをはせることができると思います。
実際に老人が若者のあとを追いかけている、ということを言いたければ現在進行形にするほうが自然なわけで、これが現在形になっていることは、繰り返し当たり前のようになされる動作である、と解釈でき、なので訳としては
「いわゆる老人というものは、若者のあとをついていくものであるよね」という普遍のことを言っている文だよね、と解釈できると思います。
この動画から「文法って学ぶ価値あるんだな」と思ってもらいたかったので、動画内で出た訳を採用してここまで記事内で深掘ることはしませんでしたが、HANAさんにご指摘いただいてここに書くことが出来ました。
ありがとうございます。
もしよければ、記事内でこのdogという動詞の時制の件に触れて、「コメント欄も合わせて読んでください」と書いてもいいですか?